どうかいつまでも お元気で
春は別れの季節なのだった。人との別れだけじゃなく、物との別れというのもあったのだ。出会ったり別れたり…たくさんの何かが小さくかかわりあって深く繋がって心を包む「縁」というものの不思議。
3月、今乗ってる車との別れをグズグズと私は引き伸ばしていて、ますます別れがたい気持ちになってしまっているが、今月末過ぎてしまうと税金や保険の手続きがなおも煩雑になってしまう。手放すタイミングは大切なのだ。
名義変更を移転登録…名称がいちいち解りにくいのですよ、お役所言葉。ひと昔前の陸運局はうす暗くて、背中に自動車メーカのロゴの入ったジャンバーを羽織る人ばかり。引っ越し手続きなんかに来たシロウトにはめんどくさそうに代書屋を強要する、なんとも高圧的、イヤ~な雰囲気が立ち込めるとこだったけど、どうやら今は違うらしい。「マークシートになったから自分できるよ」と自動車販売店の受付嬢してる英会話仲間に強く勧められる。「2,000円で済むしね」ほんと、そうなんだよね。手数料って一桁違うんだ。とはいえ…
名義変更書類の一式
委任状、譲渡証明書 に実印捨印×2
印鑑証明×5(もろもろのに必要 合計数)
車庫証明(これが 3,000円 !)
手数料納付書
自動車税、自動車取得税申告書
自賠責保険(保険は車体番号に 要確認)
任意保険の変更
あぁ日本の制度ってめんどくさいな。
pm12:04 車庫証明の受取りに3日を待って警察へ…入口で嫌な予感。1時間の昼休みがあったのだ。ここのところの警察との相性の悪さよ!ポカンとしてる私に「4分!惜しかったねぇ」
1時間後、車庫証明持って陸運局へ。
10年前とは、まるで違う世界。外国人の申請者もいっぱい、受付には女性が増えて、しかも丁寧で優しい。いろんな場合のマークシートサンプルが取り揃ってて、銀行より親切かも。ナンバープレートの外し方、取り付け方も冗談まじりに教えてくれたり、なんだか楽しかったなぁ。
今やネットで書き方から何から探せば見つかる良い時代。つながりの薄い社会の仕組みに触れるチャンスでもあったり、ちょっとしたアトラクションのようだね。
4年前の5月、北欧ヘルシンキの旅行帰り成田空港からさぁ帰ろうと駐車場でエンジンをかけた途端、プリウスの電池バッテリー異常のランプが今にも爆発しそうに点灯。JAFのおかげでやっとやっと帰り着き、新しい相棒の君を探したのだった。なかなかにパワフルで高速の安定感よく頼もしい。納車前に義母が脳梗塞で入院、それからは義姉を助手席にリハビリ施設、シニア施設の往復、その義姉が突然歩けなくなり助手席になんとか乗せて病院へ、見舞う毎日、最期斎場へ旅立ちを見送る…哀しい時間を一緒に過ごしてくれた優しい相棒だった。まさかまさかスピード違反で白バイに捕まるなんて。思えば、はじめてハメを外した私たちの楽しい出来事だったね。
整備でお世話になってるとこで引き取ってもらうことになったよ。実家に戻るかんじかな。
哀しい日々もあったけど、ミラーレスのカメラ買ったばかりの頃よく海を撮りに行ったね。君との想い出は潮の香りがする。
もう会わないのに
「またね」と言った
いいえ
いいえ
さようなら
どうかいつまでも
お元気で 豊原エス