ミシンで指を縫う
鈍い音がしてミシンの針が折れたのだ。と…同時に左の人差し指にずんと走る重い衝撃。
ミシンは時にダンスのような心地よいリズムを刻む。生地が何故だか吊れて糸調子を変え、ほどいては縫い直すを繰り返せばリズムもテンポも悪くなって、嫌々してるんだろうなぁ…ってミシンが思うのは無理もない。ネガティブな感情ってモノにも伝わるものだしね。
凍える雨は止みそうもない。コーデュロイボトムの裾が少し長く、微妙に引きずりそう。めんどくさいけど直してしまおう。たいした仕事じゃないし。…そんな気持ちの時、負のスパイラルにハマるもの。もうすこしで終わりなのにズレてる。ほどく、縫うを繰り返すうち変に意地になる。ミシンの扱いも荒っぽく。そんな時のこと。
ミシン針が斜めに貫通してる。
「アレ」で抜けるのでは?と取り出した「コレ」
アジとか鯖の「骨抜き」プロ仕様。
刺さった刀を抜くと、どうなる?…血が噴き出るスプラッタ。
このままじゃ運転できないし、抜こうと決める。針先は滑りそう。折れたアタマを骨抜きでつかむ…そろり引き抜く感触は鯖の骨を抜くのに似て。
さて、抗生剤の軟膏塗った。絆創膏貼った。抜いた針と折れた針をセロテープにくっつけて病院へ電話。
「ミシン針貫通の件」…かなり厄介なのだ。以下 ミシン針刺した際の備忘録として…
針が錆びている場合
救急外来でレントゲン ⇨ 切開(折れた針が残ってる場合)⇨ 抗生剤点滴の半日コース
不幸中の幸い(…わたしの場合は‥)
*ミシン針は替えたばかりの新品
*血管と神経(太い)を触らず、骨にもあたらず
「自分で針抜いたの?度胸がいいなぁ…次は抜かないでね」とお医者さま
ええ、もちろんです!次はないです‼︎
この程度で済んだことに安堵と感謝。大きな病気やケガが起こる時、何か消化しきれないものを抱えていませんか…とはよく言われること。心ここにあらずになってる。何かが心に棲み着いている時とも思います。ふん!大きなお世話よ…という時もあるけれど、ぞんざいで荒っぽい身のこなし…自分を省みるにじゅうぶんな出来事です。
優先順位をつけて先ばかり見て事を片づける日々を過ごして、ふとカップを置くしぐさにも柔らかさがないことに気づく。縁のあるモノ達との毎日。モノであっても愛をこめて丁寧に。いまできる、今だからできることも少しずつ積み上げて。
勉強する時間つくる努力、続ける体力も必要。。海、走るかな。