2019-02-21
心に澱を抱えた時は
覚悟はいつもしているはずなのに、身近な人たちの衰弱を、老いを見るたび揺らぐ心をどうしたらよいのだろう。人生の夕暮れに寄り添うは、しなやかさと強さだろうか。終末期の穏やかさを支うるは「あなたとの日々が幸せだった」という愛おしさと尊く思う心だろうか。
水の底に引きずられるような、寂しいような哀しいような。小さなどうでもいいような事にまで引っかかる私の弱さよ。
星の、月の光もいい。けれど、むしょうに海の、波の音が聞きたくなるのです。砂浜を裸足で歩こう。風の、潮の香りを胸にいっぱい吸いこんで、目を閉じて海を感じたい。
心に澱を抱く時は海をみにゆく。
風は思いのままに吹いて、波の音は心地よく、海はいつも優しい。
太古の昔、私の中の海がおぼえているのかもしれない。
「悲しくなったときは」 寺山修司
悲しくなったときは海をみにゆく
古本屋の帰りも海をみにゆく
貴方が病気なら海をみにゆく
心貧しい朝も海をみにゆく
あぁ海よ
大きな肩と広い胸よ
おまえはもっと悲しい
おまえの悲しみに
私のこころは洗われる
どんなつらい朝もどんなむごい夜も
いつかは終わる
人生はいつか終わるが
海だけは終わらないのだ
悲しくなったときは
海をみにゆく
ひとりぼっちの夜も
海をみにゆく
タグ: 海をみにいく 心の澱 波 風 音
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