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2018-12-06

文章教室 -ⅰ-これがあるから生きていける

これがあるから生きていける

50歳になった時30年ぶりの同窓会があった。
先生ですかとご挨拶してしまいそうな

大御所感漂う男性陣は

もはや誰なのか?

卒業アルバムだけが頼り。

このつながりからのSNS

驚くほど思い出を

私のパンドラの箱から引き上げ、

ふわりと浮かぶ映像、

あの頃の風までも感じて、

一気に私は12歳の少女に戻った。

忘れてない、こんなにもよく覚えてる。

無邪気な記憶は優しい。
心が冷たくかじかんだ夜は

暖かい記憶の海にぽっかり浮かんでいるとちょっと元気になる。

記憶とは反対。
もう忘れたの?と責められて怒る方々の話。
母も義母も隣近所のおばさん方も、

いわゆる
「アレアレ症候群」物忘れの年齢層。
話は必ずヒントが先行。
言葉はアレよソレよで浮かばず、

ただのクイズになって一向に進まない。
予定の確認となれば混乱の渦に

巻き込まれる。
が、私には責める権利はない。
神社でお賽銭箱の横に財布を忘れたヒト。
神も仏もないと呟き、うろうろ探した挙句、

駆け込んだ交番の窓から

自分の財布の中身すべて

左から右へズラッと並んでいるのを覗き見て、右端に置かれた免許書なしにいったい

どー証明すんだと思った。
忘れるに関しては、こと寛容なのです。

記憶が曖昧になっても

母も義母も昔の事は忘れない。

紡いできた私たちの、

家族の時を巻き戻して、

残りの時間を寄り添う今である。

忘れられるからこそ生きていける
大切な人たちとの別離の悲しみを忘れて。
忘れることを生きていく力にして。
微笑むことは忘れず歩いていく。
そうでありたいと思うこの頃です。

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