2023-12-25
清風払明月
その夜はfrosty moon(凍てつくような月)
月光の圧が強い。
星降る満天の空の夢など、はやばやとあきらめて。
空が綺麗なせいだろうか。
青い月は煌々と漆黒の草原に降り注ぎ、どこか敬虔な気持ちを抱いてしまう。
「清風払明月」
せいふう、めいげつをはらう。 (論語)
秋の夜空呼び覚ますの清らかな様子は、
迷いを払いさった『空』である。
「そのままの、あるがままの、透き通った境地」なのだと。
遠くから馬のひずめ男が近づいてくる。
風を切って、しなやか鞭の音と馬を追う声が遠く近く深く闇に響く。
めぐりめぐる太古の記憶を、懐かしさを呼び覚ます音。
蹄と馬追いの地響きは遠く過ぎさり、コツコツと小さな音に暗闇に目を凝らすとひとり馬を操つる遊牧民が近づいてくる。
月夜に照らされて影絵のように。
まだ少年のようだ。
堂々と近づいて立ちどまって寄り添うと、ふんわり陽だまりの匂いに包まれる。
ふぁんと優しい目をした背の低い馬。
わたしは知っている。
遠い遠い昔、どこかで一緒に過ごしたんだ。
ふっと踵を返して馬を追う集団に戻って行きました。
月の光りには浴びると負の感情が抑えられて、自分の中の優しい気持ちに気づくともいわれています。
馬は繊細で賢くて優しい。
他の生き物たちの気持ちを敏感に感じ取るのだそうです。
夢のような月の晩の出来怖。
今日はクリスマス。
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