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2018-12-24

苦しみについて

サント・シャペル シテ島 聖なる礼拝堂

ひとりの女が言った

お話ください。

苦しみについて

アルムスタファは答えて言った

苦しみ

それはあなたの殻が壊れること

果実の芯が陽に触れるためには

まずその核が

壊れなければならないように

あなたも苦しみを

知らねばなりません

あなたの日々の生活に

起こるさまざまな奇跡への驚き

それを心に常に生き生きと

保てたなら

苦しみも喜びに劣らず、

不思議に溢れていることが

わかるでしょう

苦しみの多くは

自ら選んだもの

それは、

あなたがた自身のなかの、

うちなる薬師が、

病んでいる自分を癒そうとして

盛った苦い苦い一服

それがゆえに、

この薬師を信じなさい

そしてその薬を

沈黙と静穏のうちに

飲みほしなさい

なぜなら、その手が

どんなに耐えがたく厳しくても、

「見えない方」の優しい手で

導かれているのですから

そのもたらす杯が

どんなにあなたがたの

唇を焼こうとも

「陶土である方」が

ご自身の聖なる涙でしめらせた

土で作られているのですから

カリール・ジブラン

「予言者」より抜粋

この詩「苦しみについて」という詩に出会ったのは母が認知症と診断された頃のこと。

明るく人と話すのが好きでチャレンジ精神旺盛な母が少しずつ壊れてゆくのを見守ってゆかなければならない。

どうしてこんな哀しいことになってしまったのだろうと思うと、泣けて泣けてしかたなく…でも母の前で泣き顔を見せるわけにはいかなくて。

明るい顔を見せたつもりが

「寒かったでしょう。鼻が真っ赤で泣いたみたいよ」

頰を優しく撫でる母は変わらずで。ずっと守ってもらっていたという幸せからようやくに自分の立ち位置を覚悟をしたあの冬ほんとうに寒かった。

そして

最愛の義姉が旅立ったこの夏の別れを哀しみを抱きしめる私がまだいる。

「すべての逆境は神の恩寵的試練」

森信三によれば

– 苦しみを見つめることで

人生の美しさを感じ

生き直すことが

できるのではないか –

どんな人間にも等しく

悲しみも苦しみも訪れ、

それは季節のように

めぐってくるもので

その苦しみを受け入れること

悲しみも苦しみもさえも

喜びと同じ

人生の不思議に

満ちていることがわかるはずだと。

クリスマスのライトアップは信仰心をもつ国々なかでもゲルマン文化で培われ歴史の中ではぐくまれた敬虔な光。

どこか静かでしんと心に響く。

宗教的意味合いが薄い日本では華やかで美しいアミューズメント…という印象はあっても、光は等しく、どこか癒される。

感じるものは祈り。

祈るということは願いを叶えてもらうものではなく導きに感謝するもの。

どんなにつらく苦しい時でも

小さく暖かな希望だ。

クリスマスの夜。

ひとりで過ごすのもよいものと思います。

寂しいですか?

クリスマスの由来からなら

静かに過ごす夜なのでしょう。

人生の時はさまざま。

にぎやかな時間も幸せでしょう。

ひとりの時間大切なものと思います。

見えない優しい手に寄り添ってくれた人に感謝をして祈ります。

孤独を「自由」と喜んで楽しむ夜

ノートルダム・ド・ラ・ガルド聖堂 灯に身をただす

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